「クレージー作戦・くたばれ!無責任」
今は無くなってしまいましたが、
かつて浅草東宝では毎週土曜の夜、オールナイト興行が行われていました。
月のうち1回は「クレージーキャッツ特集」で、
当時はかなり通ったものです。
オールナイト興行は夜の8時から5本立てで、翌朝5時までの上映でした。
フィルムは劣化しているため映像は赤茶けていて、
ブツッときれることもしばしばありました。
長時間の上映の為、最後になると目がしょぼしょぼして、
お尻も痛くなった記憶があります。
俗に「東宝クレージー映画30本」といわれますが、
このオールナイトでなぜか頻繁にかかる作品が2つありました。
「クレージーだよ天下無敵」と、今回紹介する「くたばれ!無責任」です。
事情はわかりませんが、何度も見ているうちに、
この2作品に関してセリフはほとんど覚えてしまうくらいでした。
「くたばれ!無責任」はクレージー作戦シリーズ第2弾。
前作「先手必勝」は下町を舞台にしたもので、めずらしく大人しい展開でした。
今回も映画の冒頭は哀愁漂う植木等扮する無気力社員の寝起きのシーンからはじまります。
いつもの盛大な笑い声と溌剌さはみじんもありません。
ん、これは前作と同じ感じかなと思ってしまいます。
ところが、彼の働く食品会社・鶴亀製菓が
「ハッスルコーラ」という、一種の興奮剤が入った商品を開発。
これを植木等扮する無気力社員に飲ませると、たちまち元気・勇気百倍!
上司にも一喝するほどになります。
いつもの植木節が炸裂!いつ見てもこのシーンはスカッとします。
タンカのきり方は、半沢直樹の「倍返し」もびっくりでしょう。
クレージー版ポパイのようです。
映画では、催眠術に凝る谷啓が
人に催眠術をかけようとして自分がかかってしまったり、
谷啓と犬塚弘がコーラの売り込みに出向いた店の店主にコーラを置きたくなる催眠術をかけて
精神病と思われ救急車出動、喧嘩に発展してパトカー出動、
喧嘩の際に電柱の火災報知機にあたり消防車出動となる流れは
かつてのアメリカ喜劇を観ているようで、何も考えず楽しめます。
今回メガホンをとったのが、坪島孝監督。
この後クレージー映画を量産する彼の、クレージー第1作目です。
アクの強い古澤憲吾監督とくらべると、
オーソドックスなクレージー映画のシチュエーションで撮っていますね。
そこにクレージーのメンバーそれぞれの面白さがマッチしていました。
特に谷啓の味を上手く引き出したことで定評があります。
この映画でもっとも好きな場面は、ラストの
「♪くたばれ無責任」を7人が並んで歌いながら、ビル街を闊歩する場面です。
♪わずかなサラリ~もらうためだけに、この世に生まれたわけじゃない~♪と歌うのは
軽快なマーチ風で、7人がとてもかっこ良くみえます。
何も考えず、疲れた時に是非ご覧になるといいですよ。きっとコーラが飲みたくなります。
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